リップシャッツ信元夏代×川嶋治子対談『日本人のスピーチにありがちな落とし穴?!世界トップリーダーのスピーチの共通点とは?』(後編 )
引き続き、2019年7月に「20字に削ぎ落とせ ワンビックメッセージで相手を動かす」(朝日新聞出版社)を出版され、ニューヨークを拠点に活躍されているリップシャツ信元夏代さんをゲストに迎え、弊社代表川嶋と対談いたしました。
この対談では「グローバルで活躍するリーダーに必須のマインドセットとは?」と題して、リップシャッツ信元夏代さんにお話をお伺いしました。
対談の様子はPodcast番組「川嶋治子のLead Yourself, Lead Others!」にて音声でもお聴きいただけます。
参考:前回記事
【リップシャッツ信元夏代×川嶋治子対談 】『スピーチ・プレゼンは情報の整理術』(前編 )
Contents
リップシャッツ信元夏代×川嶋治子対談『日本人のスピーチにありがちな落とし穴?!世界トップリーダーのスピーチの共通点とは?』(後編 )
日本人のスピーチにありがちな落とし穴
川嶋:前回は、夏代さんにスピーチ・パブリックスピーキングの極意についてお話お伺いさせていただきました。
日本人の方はスピーチが苦手とおっしゃる方が多いように感じるのですが、日本人の方のスピーチにありがちな落とし穴、と言いますか陥りやすい傾向のようなものがあれば、教えてください。
リップシャッツ信元夏代氏(以下、信元):英語でいうとUnpleasant pleasantry「非礼なる礼儀」と言われるものがあります。
スピーチには「7秒30秒ルール」というものがあるんですね。
これは何かと言いますと、聞いている人は、話し手の印象を7秒で決め、30秒で話している内容が面白そうか判断をする、ということなんですね。
7秒で印象が決まり、30秒で判断されてしまう。
川嶋:あっという間ですよね。
7秒30秒ルール
信元:はい、なので、冒頭でいかに聞き手の心を掴むか、ということが重要なんですけれども、日本の方がよくやりがちなのが
「本日はお日柄もよく・・・」「足元の悪い中・・」「協賛社のA社様、ありがとうございます・・・」と始めがちなんですよね。
あっという間に30秒たっちゃうわけなんですよね。
川嶋:確かに!
信元:その時に印象も何もないですよね、眠くなる一方ですよね。
川嶋:それに、そのフレーズは誰でも言えるフレーズだから、私じゃなくても言えるというフレーズを話しているうちに、あっという間に30秒たってしまうわけですものね。
信元:そして、聞き手は「またかぁ~」となってしまうという感じで、聞き手も集中して聞けませんし、何か言おうとしても、聞き手の心が閉ざしている状態を最初に作ってしまっているわけですので、メッセージが入りにくい状態になっているわけですね。
日本の場合は、しきたりとか慣習というのがあるわけで、ある程度の型に乗っ取って行動するという文化なわけですけれども、それが仇となって
スピーチの場合は、このスピーカーは面白くないスピーカーだという印象を与えがちです。
ですので、この7秒30秒ルールというのを覚えておいて、最初にいかにインパクトを出せるか、というのを考えるとUnpleasant pleasantry「非礼なる礼儀」を避けることができると言えます。
川嶋:なるほど。日本人てある程度プロトコールがあるじゃないですか。
ある程度控えめに、ある程度礼儀正しく、というところをカバーしながら7秒30秒ルールをクリアしていくコツは何かありますか?
信元:あります。日本人としてはThank you も何も言わずにスピーチに入るというのは怖いと思うので、まず冒頭にThank youくらいはいいと思うんですね。
その次に、ブレイクスルーメソッドでは、いくつかのオープニングの手法を教えているんですけれども、その一つに「ストーリーで始める」という手法があるんです。
それも、「これからこういうお話をさせていただきます」と始めるのではなくて、いきなりストーリーで始める、というメソッドです。
川嶋:なるほど。
【いきなりストーリーで始める??】
信元:これのすごくいい例が、2016年の大統領選の民主党大会の時にビルクリントンがスピーチをした時なんですが、一番最初に “In 1971, I met a girl.”で始めたんですね。
いきなり、”、”In 1971, I met a girl.” 、ストーリーですよね。
そこでもう、”Girl”がヒラリーだと、聞き手がみんなわかるので、一気に会場が「わー!!」と沸いたんですよ。
川嶋:なるほどー!
信元:そういった感じで、もし、ビルクリントンが” Let me tell you a story about when I met Hillary in 1971” とかって始めたら面白くないんですね。
いきなり、“In 1971, I met a girl.”で、ストーリーがバーン!って始まったのでみんながおおー!となったわけなので、ストーリーで入る。
ビジネスプレゼンであれば、〇〇年にこんな商品がはじめて誕生しました、かもしれないし、ストーリーで始める。
川嶋:ドラマチックですね。ドラマチックで、相手を引きつける。素晴らしいですね。
ちなみに、グローバルのトップリーダーって、企業のCEOも政治家も、オバマ元大統領のスピーチの様子なども日本でよく流れたりしましたけれど、トップリーダーってとってもスピーチ上手だな、と思うことってあるんですよね。
このグローバルトップリーダーのスピーチに共通するものも、何かポイントがあるんじゃないかなと思って。
トップリーダーのスピーチに共通する2つのポイント
信元:そうですね。
2つ挙げるとするならば、一つはストーリー遣いがとても巧みだということですね。
そのストーリーというのも自分のパーソナルストーリーを盛り込んで、メッセージにつなげていく技術というのが素晴らしいですね。
ビジネスプレゼンだと、どうしてもこのパーソナルストーリーというのが欠けてしまいがちなんですけれど、やっぱり人っていうのは、
何か相手の感情が見えたり、苦労話が見えてくると共感するものなんですよね。
川嶋:確かに。
信元:事実をそのまま事実として、これがソリューションです、ベストプラクティスです、という感じで伝えられると「ああそうですか」で終わっちゃうんですけれど、そこにパーソナルストーリーが乗ってくることで、人の心を開き、共感を呼び賛同してもらえるスピーチになるので、やはりグローバルトップのリーダーの方々はストーリーづかいがとても上手い、ということが一つ。
もう一つ言うならば、前回KISSというお話をしましたけれど、KISSみなさん覚えていらっしゃるでしょうか?
川嶋:Keep it simple specific!
信元:当たりです。
シンプルかつ、具体的に話す。やはり、トップリーダーの方々っていうのは、聞いていてわかりやすい。わかりやすくて具体的だと、行動に繋げやすいですよね。
川嶋:そうですよね。
信元:メッセージが入って来やすくって、次に自分が何をしたらいいかが具体的に見える。そういったKISSを使った話し方をしている方というのはトップ級だなと思いますね。
川嶋:Specificって大事ですね。具体性がないと、感動した!インパクトを受けた!ということがあっても、次に何をしたらいいかという具体的行動、というところに落ちてこないと動けないので、Specificというところが大事なんですね。
信元:はい、特に日本の会議なんかでありがちなのが、会議が終わりました、よかったね、こうことが決まりましたね、それで、私はこれから部署に帰って何をしたらいいのか?よくわからない、でもミーティングはやったよね、ということって多いじゃないですか。
川嶋:ありますね。
信元:それって、Specificじゃないので、人が動かないわけなんですよね。なので、今仰ったみたいに、Specificというところが大事なわけですね。
川嶋:やはりトップリーダーの方達のプレゼンが上手な理由というか、彼らが人に影響を与えるプレゼンテーションができるコツっていうところは、心に刺さる・届くというところと、人が具体的に動ける具体性がある、という2つがポイントなんだなと聞いていて思いました。
信元:その通りですね。
グローバルリーダーに欠かせない「コミュニケーションの適応力」とは
川嶋:もう一つ夏代さんにお伺いしたいのですが・・・私は特に日本のビジネスリーダーの方々と触れる機会が多いのですけれど、グローバルに活躍を、ということを考え始めると、みんなこぞってTOEICを頑張り始めるんですね。
英語力を上げなきゃ、TOEICを頑張らなきゃ、と。それはもちろん、企業もTOEICのスコアを海外駐在の基準としていたり一つの指標になっているので、それが一つの理由になっている背景もあるのですが、それにしてもみんなTOEICをやっている。
ただ実際にグローバルリーダーとして活躍をしていく場合に、もちろん語学は大事なツールではあるけれど、TOEICが最も大事なわけではないよね、と感じることがあるんです。
ズバリ、夏代さんがグローバルで活躍をするという時に、最も大事だと思えるスキルはどんなところでしょうか?
信元:ズバリいうならば「コミュニケーション適応力」だと思います。
川嶋:コニュニケーション適応力。
信元:実は私、TOEICを受けたこともなく、英語の語彙数を測るあるテストを受けたところ、私はネイティブの8歳レベルの語彙力だそうなんですね(笑)それでもプロフェッショナルスピーカーとしてやっていけているわけなんですけれども、じゃあ、何が良かったのかというと。
やはり「コミュニケーション適応力」というところじゃないかなと思っていまして。
川嶋:その心は?
信元:というのは、グローバルに出ていくと、自分の考えとは違う人たち、自分の考えとは全然違う思考回路を持っている人たちと出会うわけですよね。そういった時にじゃあそんな人たちを動かしていく、巻き込んでいくためには、自分が明確に知っている通りに伝えるだけじゃ刺さらないわけですよね。
そこで大事なのが3つのAが大事だとお伝えしているんですけれど。
川嶋:3つのA。
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