「個性活躍」を北極星に、経営と現場をつなぐ。役職者へのD&I研修によって生まれた成果と、これからの展望
- 社名
- 株式会社 長谷工コーポレーション
- 所在地
- 東京都港区
- 業種
- 建設事業、不動産事業、エンジニアリング事業
掛橋佳代様
小松ひとみ様
※本記事における登壇者の所属名につきましては2026年1月時点のものとなります。
マンションを中心に「住まいと暮らし」の価値を提供する長谷工グループ。同社は、構造的に女性が少ない建設業界において、女性活躍推進法等の法改正に先行する形で継続的に女性活躍に取り組んできた、建設業界におけるパイオニア的存在です。早くから商品企画やサービス設計の場面で女性の視点を活かす取り組みを事業として重ねてきました。
2023年、「個性活躍」を独自のキーワードとして掲げ、女性活躍からD&I推進体制へと移行しました。女性活躍の延長線上に留まらず、性別に限らない多様性を尊重し、「継承を軸に変革を加えて進化する」という考え方のもとで、組織風土の変革に着手しています。
ウーマンズリーダーシップインスティテュートでは、2025年度に同社の経営層・部長層向けD&I研修を設計・ご提供いたしました。
研修導入の背景や当時の課題、実施後の変化、そして今後の展望について、株式会社長谷工コーポレーション 人材開発部D&I推進室の掛橋佳代氏、小松ひとみ氏にお話を伺いました。
- 2023年にD&Iという言葉を社内で使い始めたが、アンケートで約7割が言葉の意味を理解していないことが判明
- 初年度は全社員向けに「言葉の意味・基礎知識」のインプット(eラーニング/社内報)を実施
- 翌年は一歩踏み込み、「なぜD&Iが必要か」「自分たちに何ができるか」の理解・気づきを促す内容へステップアップ
- 2024年に役職者向け研修を新設し、統括部長・部長クラス(所属長)から開始
- 役職者の理解は進む一方、部署状況が多様なため、「自分の職場で具体的に何をすればいいか」がイメージしにくい課題が残った
- 部長層からは、事業における短期成果が求められる中でD&Iを推進する難しさや、経営層がどこまで本気で求めているのかが見えにくいという葛藤(板挟み)が顕在化
- グループ全社の経営層・部長層を対象にしたD&I研修を東京・大阪で実施
- 社長が現地でトップメッセージを発信し、トップコミットメントを明確化
- 役職者が「職場で何をするか」を自分ごと化できるよう、具体的な行動設計と対話型設計を重視
- 受講後、部長層が自組織のアクションを設定→3か月実践→フィードバック回収の仕組みを構築
- 成果計上や、部下の変化が可視化された成功事例の創出
- 統制との線引き、忙しさの中での仕組み化など、次の課題の可視化を実現
- エンゲージメントサーベイ等、定量データ活用の土台が整い、今後は数値を起点にPDCAを回すフェーズへ
目次
事業の中で磨かれてきた「生活者視点」が、D&Iの土台に
ーはじめに、御社のD&Iの歩みについてお聞かせください。
掛橋
当社が「D&I」という言葉を使い始めたのは2023年で、歴史としては浅いです。一方で、法改正などをきっかけに女性活躍が注目される以前からD&I推進室の前身として女性活躍推進室があり、女性活躍そのものには継続的に力を入れてきた会社でもあります。
建設業界は構造的に女性が少ない業界ですが、当社はマンションを中心に、住まい・暮らしという価値を社会に提供する会社です。そのため、早くから商品企画やサービス設計の場面で、実際に暮らす人の視点、特に女性の視点を活かす取り組みを重ねてきました。
単に数値目標として女性比率を高めるというよりも、事業の質を高めるために必要な視点として女性の活躍を捉えてきたことが、これまでの取り組みの土台にあると考えています。
川嶋
まず女性管理職比率の向上など数値目標から着手するケースも多い中で、長谷工様は「住まい」という事業のど真ん中に、すでに女性視点を組み込んでこられた印象があります。女性活躍を人事施策として切り出すのではなく、事業そのものの価値につながるものとして捉えてきた点が、素晴らしい特徴だと感じます。

ーそうした考え方が、具体的にどのような形で商品やサービスに反映されてきたのか、事例を教えていただけますか。
小松
当社は施工だけではなく、販売や管理修繕、流通まで住まいに関することを一貫で対応してきています。販売は一般のお客様に触れる機会が多く、アンケートなどで吸い上げた声を設計施工に反映することを続けてきました。昔から販売は女性が活躍する職域でもあったので、女性ならではの視点も活かして商品化したものがあり、今は「U’s-style(ユーズスタイル)」というブランド名で展開しています。
例えば、ドレッサーの鏡が2面になっていて、片方を手前にすることで前かがみにならずにメイクができる、洗濯機置き場の上に吊り戸棚やハンガーラックがあり、洗濯物をその場でハンガーに掛けながら家事動線が作れる、収納内にコンセントをつけてコードレス掃除機を充電しながら収納できる、といった工夫です。当初は女性ならではの視点が売りでしたが、今は女性に限らずワーキンググループで開発しています。
川嶋
ちょっとした工夫でも、暮らしの中では毎日のことなので効いてきますよね。「あったらいいな」を当事者・生活者の視点で形にしてこられた積み重ねが、御社の価値提供につながっていると感じます。
商品づくりだけでなく現場にも広がる、女性視点を全工程に反映した「浦和駒場プロジェクト」
ー建設現場における取り組みもあると伺いました。ぜひ詳細をお聞かせください。
掛橋
女性視点を活かした商品づくりに加えて、より踏み込んだ取り組みとして、女性に特化したプロジェクトも実施しています。代表的なものが、2015年の「浦和駒場」の建設現場です。このプロジェクトでは、商品・事業企画の段階から設計、施工、販売に至るまで、すべての工程において女性視点を意識的に取り入れました。単に完成した商品だけでなく、「つくるプロセスそのもの」に女性の視点を通すことを重視した点が特徴です。
特に象徴的だったのが、建設現場の所員を女性のみで構成したことです。当時としては非常に先進的な試みでしたが、現場運営そのものも含めて、女性が主体となって進めることで、これまで当たり前とされてきたやり方や前提を見直す機会になりました。
商品企画の面では、キッチンからリビングダイニング、子ども部屋まで視線が通る間取りとし、料理や家事をしながらでも家族の様子を見守れる設計を取り入れました。特に子育て世代を意識し、生活動線や安心感といった「暮らしの実感」に根ざした工夫を随所に盛り込んだ結果、購入者からも高い評価を得たと聞いています。
川嶋
商品そのものの工夫だけでなく、企画から現場運営まで一貫して女性視点を通した点が印象的ですね。生活者としての実感を持つ視点が、設計や施工、さらには現場の進め方にまで反映されていることで、単発の取り組みではなく、組織としての学びにもつながっているように感じます。商品企画だけでなく、現場や組織運営にも踏み込んだ取り組みが、かなり早い段階から行われていたことがよく伝わってきます。

「女性活躍」から「個性活躍」へ。継承を軸に文化を刷新する
ー2023年からD&I推進体制に移行し、「個性活躍」というキーワードを掲げられています。その背景について教えてください。
掛橋
女性活躍には以前から力を入れてきましたが、取り組みを進める中で、男性の育児参加や働き方の課題なども含めて考えると、「女性だけの問題ではない」という認識が社内でも徐々に共有されるようになってきました。女性・男性という性別の違いにとどまらず、年齢や経験、価値観、家庭状況なども含めて、一人ひとりが力を発揮できる職場を目指す必要があるのではないか、と。そうした議論を重ねる中で、当時の社長が打ち出したのが「個性活躍」というキーワードでした。特定の属性を支援するのではなく、それぞれの個性が組織の中で活きる状態をつくること。その考え方を明確に打ち出すために、女性活躍推進室を発展させる形で、D&I推進室を組成しました。
川嶋
これまで大切にされてきたものを、特定の属性に閉じず「全ての人の個性が活躍する」という言葉に昇華されている点が、非常に長谷工様らしい進化だと感じます。
ー推進方針や、目指す姿についてもお聞かせください。
掛橋
推進方針は公表しているとおり、目に見える多様性だけでなく目に見えない多様性も含めて尊重し、それぞれの力が発揮できる環境をつくっていくことです。この方針は人事と経営陣ですり合わせながら作りましたが、経営陣から「大事にしてほしい」と言われたのが、方針の中にある「今後も5つの行動指針を実践し続ける」という文言です。

5つの行動指針は、長谷工グループがずっと大事にしてきた考え方なので、D&Iで文化を刷新するからといってガラッと変えるのではなく、もともと大切にしてきたものを軸に発展させる、という考え方を大事にしてほしい、と。今の社長も「進化とは、継承があってそこに変革を加えて進化につながる」とよく言いますが、そういうことだと思います。
川嶋
トップが「自分の言葉」で語ること、そして「実践し続ける」ことへの強いコミットメントが、方針の作り方や文言にも表れていると感じます。実際に研修の際も、社長が東京・大阪の両会場にお越しくださり、ご自身の言葉で「なぜD&Iなのか」「役職者の皆様にどうなってほしいのか」を語られた姿が印象的でした。
D&I推進のカギは、「マイノリティ構造を前提にした育成の考え方」と「現場に根づかせる制度づくり」
ー建設業界でD&Iを進める上で、難しさや課題感はありますか。
掛橋
建設業は男女比に偏りがあり、女性がマイノリティになりやすい業界です。その結果、特別扱いが生まれやすく、育成や登用に影響してきた側面があると感じています。また、現場は時間と場所にとらわれる働き方が前提で、柔軟性を持たせにくい点も長年の課題でした。ただ最近では、育休復帰後も施工管理職として現場に戻りたいと考える女性が増え、業務の切り出しや工夫によって活躍を続けてくれるケースも出てきています。
川嶋
そのような環境の中で、どのような考え方を大切にされてきたのでしょうか。
掛橋
性別に関係なく、一人の社会人として公平に指導・育成することです。女性だからと仕事の機会を制限してしまうと、やりがいや成長の機会を失い、結果として離職につながりかねません。以前、「女性所員研修会」で共有された、「(女性所員の)数が増えたからではなく、成果を積み重ねて当たり前になった」という言葉は象徴的でした。特別扱いではなく、仕事の機会と評価を積み重ねることが重要だと考えています。
川嶋
素晴らしいですね。女性の数は増加していると思いますが、数ではなく、その一人ひとりが成果を積み重ねてきたからこそ、女性の所長や管理職がいることが御社内では当たり前になったのだ、というメッセージは、御社の歩みの本質を語られている素晴らしいメッセージだと感じます。
掛橋
一方で、アンコンシャスバイアスや性別役割分担意識は依然として残っています。そのため当社では、育児を女性だけの問題にせず、男性の育児参加を後押しする制度整備にも力を入れてきました。配偶者出産休暇(出産予定日の前日から2週間前の間に1日有給取得できる)や子ども休暇(3歳になるまで1人10日休みを付与し子供のイベントに参加することを推奨する休暇制度)を通じて、育児参加のきっかけと使いやすさを両立させています。

川嶋
とても素晴らしい取り組みですね。それ以外にも御社ならではの具体的な取り組みや事例がありましたら教えていただけますか?
掛橋
そうですね、当社ならではというと「女性も長く働ける環境を作っていこう」という取り組みをずっとやってきています。具体的には、女性専用の更衣室、洗面所、洗濯機を備えた休憩スペースがある「なでしこルーム」を設置して安心して仕事ができる環境を整備していたり、女性所員同士の横のつながりづくりの場でもある「女性所員研修会」を毎年実施したりしております。
小松
その他ですと、同業他社でも女性の職員は増えてきていると思いますが、内勤に移るのではなく、現場職である所長職に女性がいるのは他社ではあまり耳にしないですね。
川嶋
確かに、役員研修でも女性の所長の姿をお見かけしましたが、研修中のご発言の中でも、事業特性として女性の視点を活用してきたので、女性活躍やD&Iの視点は当社では当たり前になっているという発言があったことが印象的でした。女性の所長が誕生していること自体が、商品づくりから働く環境整備、そして性別で特別視しない育成まで、長年積み重ねてこられた取り組みの成果の表れだと感じました。所長は、ある日突然生まれるものではありませんから。素晴らしいことだと思います。
D&Iを自分ごとにできないという壁。役職者研修の依頼に至った課題感
ー御社の中期経営計画のKPIと、D&I推進の位置づけについて教えてください。
掛橋
2025年から「長谷工グループ中期経営計画 (HASEKO Evolution Plan)」が始まり、人的資本を経営戦略として捉え、主な非財務KPIを出しました。その中でD&Iの観点としては、女性管理職比率を2030年度にグループ連結で12%以上を目指すという目標を掲げています。
このKPIは人事部門内でさまざまなKPIを検討した中から抽出して最終的にこの形になりました。女性管理職登用を通して環境整備をしっかり行っていく、という意思表示でもあると思っています。ほかにも一般事業主行動計画の中で、新卒の30%を女性採用とすること、男性育児参加として配偶者出産休暇または育児休業のどちらかを必ず取得(100%目標)なども掲げています。また今年からエンゲージメントサーベイが始まり、施策がどう受け止められているかを数値で観測できる土壌ができました。今後はデータをもとにPDCAを回し、個性活躍できる職場づくりにつなげたいと考えています。
川嶋
KPIを置くことが目的ではなく、経営戦略として人的資本を捉え、非財務KPIを選び抜くプロセスの中でD&Iの指標が位置づけられた点が、コミットメントとして強いと感じます。さらにサーベイで現状を可視化できるようになったことで、次の打ち手の精度も上がっていくフェーズですね。
ー今回、当社に経営層・部長層向け研修をご依頼いただくに至った背景を教えてください。
小松
2023年にD&Iという言葉を使い始めたタイミングで、社員にも伝えていこうとアンケートをしたところ、約7割が言葉の意味を理解していないことがわかりました。まずは認知度を高めるために、初年度は全社員向けに言葉の意味と基本知識のeラーニングや社内報発信を行いました。
翌年は一歩踏み込み、意義や必要性、自分たちにとってのアクションを考える内容にステップアップし、今期まで全社員向けに進めています。
役職者向け研修は2024年から新設し、統括部長・部長クラス(各組織のトップ)を対象に実施しました。意義や必要性の理解は進んだ一方、現場や内勤など置かれた状況が様々で、具体的に何をしてほしいのかを伝えるのが難しく、「必要なのはわかったが、自分が何をしたらいいかイメージがつかない」「自組織でできると思えない」という声が残りました。加えて、部長層は世代も変わりフラットな方も増える一方で、「経営層がどこまで本気で求めているのかが見えにくい」という声もありました。
そこで、「一般論だけでなく、職場で何ができるかを考えるヒントを提供したい」「経営層と職場が一体となって推進できる土壌を整えたい」という課題感から、社長以下、経営層全員を対象に研修をお願いしました。
川嶋
「認知→理解→行動」と段階的に深めつつ、最後に「経営と職場をつなぐ」ところまで設計されているのが印象的です。D&I推進室の課題設定がとても明確でした。
理解が行動に変わり始めた3か月。経営と職場をつなぐ変化の兆し
ー研修を実施してみて、どのような変化がありましたか。
小松
経営層への研修自体が社内であまりない上に、D&Iという新しい概念で実施するのは初めてだったため、どう受け入れられるかは緊張もありました。研修では川嶋さんに背景や意図をしっかり伝えていただき、社長からも受講者に向けて直接メッセージを発信したこともあり、受講者には腹落ちしてもらえた感覚があります。経営と職場をつなぐという点でも、部長層が安心して「求められている」と感じながら推進できる形にしたかったので、やりたかったことが形になったと感じています。
特に印象的だったのは、研修直後の全社朝礼で、ある役員が研修を受けた思いを語ってくれたことです。D&Iの意義や、当社の推進方針を説明した上で、「若手や女性など少数派の着眼点を積極的に取り入れることが重要」「短期的な成果を追うだけだとリスクやチャンスの見逃しにつながる」「発言しやすい環境づくりと、受け入れ側の捉え直しを自組織で進めたい」と、自分のスタンスとして発信していました。研修で伝えた内容をそのまま共有するのではなく、自分なりに解釈し直し、自分の言葉として発信までしてくれたのが想像以上で、嬉しい驚きでした。

掛橋
発信してくださったのは関西の営業部門の役員でした。研修前はトップダウンが強い組織だったと聞いていたので、その背景を踏まえても反響が大きかったと思います。
川嶋
社長のトップコミットメントに加え、役員が自分の言葉で全社員向けに想いを語るということは、社長から役員、役員から全社員へとその想いが伝播して、経営陣の本気が伝わる、素晴らしい発信ですね。研修直後に「理解→自分ごと化→発信」がすぐに起こった点が、非常に象徴的ですね。
小松
部長層については、研修後に一人ひとりが自組織で実行することを考えてもらい、約3か月実践期間を取りました。その後、感想や変化を回収しています。印象的だったのは「担当者に合った仕事をアサインすることで、成果として目に見える形で計上できた物件があった」という声です。また「個性活躍の第一歩は個を把握すること」というテーマを踏まえ、心理的安全性のある職場づくりとして部下の話を聞くことを徹底したところ、黙って待っていると部下から「こんなことをやってみたい」という提案が出てくるようになった、という意見も複数ありました。ほかにも、相手の個性を尊重する「リスペクト」を軸に、関係性や環境を整えることが自分の責務だと改めて感じた、といった気づきもありました。
一方で、「統制が必要な建設現場における個性活躍との線引きが難しい」「公平と平等の違いが難しい」「忙しさに飲み込まれている中でどう仕組み化するか」「人員や評価など職場ではどうにもならないことについて人事側への要望がある」といった声もありました。ただ、3か月という短い期間で結果につながった事例が出たのは期待以上でしたし、難しさの声も含めて今後の推進のヒントにしたいと考えています。
川嶋
研修を「やりっぱなし」にせず、アクション設定と実践、振り返りまで仕組みに組み込んだことが、短期での成果につながっていると感じます。実践したからこそ次の壁が見える、というのも重要なポイントですね。
また、忙しさを「どうにかする」ではなく「仕組み化で両立する」という発想が複数のコメントに現れていた点も、御社の文化に通底するものだと感じました。「実践し続ける」を前提に、職場でできることと、制度・人事側で整えるべきことを切り分け、次の打ち手へとつなげていく。この一連の流れが回り始めたこと自体が、大きな変化だと言えるのではないでしょうか。
研修を起点に見えてきた次のフェーズ。北極星を共有し、データを軸に現場へ広げていくD&Iの実現を目指して
ー最後に、今後の展望をお聞かせください。
掛橋
D&Iを進める上で、推進室のチームだけが頑張ってもダメだと感じています。女性活躍推進一つを取っても、育成・強化・働き方など人事内でも横断的で多岐にわたる分野になります。D&I推進室は2023年に新設したチームなので、すでに実務として走っている施策を担う各チームに働きかけながら改善し、人事内だけでなく職場にも下ろして納得感を得ながら進めることで、周りを巻き込んで進めていかなければいけないと思っています。そのためにも、定性的な声だけでは組織が動きにくいので、定量データで示すことが重要です。経営陣にも人事内にも職場にも、数値で示すことで納得感を持って進められるようにしていきたいです。
小松
グループ内でも状況は様々で、D&Iの答えややり方は多様です。役職者それぞれが自分で考えて自組織のD&Iを進めること、関連各部が実務に落とし込んで進めることが必要になります。だからこそ、推進側としては「北極星の共有」が重要だと思っています。長谷工グループとして、なぜ進めるのか、最終的にどこに行き着くためにやっているのかを、関連各部や全社員に対して丁寧に共有し続けていきたいです。壁にぶつかることは続くと思いますが、役職者の中で「進めよう」という気持ちの芽生えも増えてきました。その動きを止めないように、一歩ずつでも進み続けたいと考えています。
川嶋
D&Iは息の長い、泥臭い取り組みです。だからこそ、北極星を明確にし続けること、行動を認め合うこと、そして課題を部長層任せにせず会社として一緒に乗り越える姿勢が、推進を前に進める力になると感じます。
本日は貴重なお話をありがとうございました。


インタビュアー
ウーマンズリーダーシップインスティテュート株式会社 代表取締役
川嶋 治子(かわしま・はるこ)
川嶋 治子(かわしま・はるこ) ウーマンズリーダーシップインスティテュート株式会社 代表取締役 早稲田大学大学院経営管理研究科卒業 経営学修士(MBA) DE&I推進、人的資本経営、女性リーダー育成、次世代経営層育成を専門とし、上場企業・外資系企業・官公庁に対して戦略アドバイザリーおよび組織開発支援を提供。これまでに延べ5万人以上の経営幹部人材育成を担い、 経営戦略と人材戦略を接続する“経営直結型”のアプローチに定評がある。 社外取締役や理事としてガバナンス領域にも貢献。