【国際ネゴシエーター島田久仁彦氏×川嶋治子】 『無敵の交渉術:相手の深層心理が見えてくる傾聴とは?』
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交渉の背景にあるものとは?
川嶋:地政学のリスクアドバイザーもくにさんはされていますけれども、国と国の国境をまたぐとなれば、もちろん地政学も知らなければならないし、最新の国際情勢も知らなければいけないし、その国の歴史、宗教、文化ということも知らなければならないと思いますし、コミュニケーションのスキルも、心理学も・・・と、いろんなことを知らなければならないと思うのですけれども。
島田:そうですね。
川嶋:くにさんの交渉をされるときの背景にはどんなものがあるのかをまずお聴きしたいと思うのですが。
島田:一つは、役割にもよると思うんですね。交渉人として行くときは誰かの利害を背負っていきますので、国の、クライアントの利害を背負う人間になり切ってしまいます。自分を染め切ってしまいます。島田久仁彦というのは表に出てこない。キャラクターとか話し方の端々には出てきますよ。ただ、代表しているのが私、本当に島田久仁彦として信じているとか正しいと思っていることを言っているかどうかは別ですよ、ということですね。
川嶋:なるほど。(個人としての信念や考えは)脇に置いて、完全に代理人とプロフェッショナルとして行く、ということですね。
相手のことを調べ尽くす
島田:そうですね。それから、相手のことは調べ尽くせることは調べ尽くします。Googleサーチをするかどうかはまた別の話になってきますが。
川嶋:Googleサーチじゃないんですね?
島田:Googleサーチじゃないんですね。Googleサーチをすると、コントロールされたアルゴリズムでお金を払っている人が上に出てきますので。最近私自身もそうだなと思ったのは、日本だと例えば、or.jpだとか.govというところで、サーチエンジン×言葉の後ろにor.jpと書くと、割合に公的な機関が上に出てくるようになるんですね。そうなってくると、嘘がつけないであろう、あるいは、第一次情報があたってきますので、その辺りからあたることと。真剣な雑談というのもやるんですけれど、向こうのお天気などを聞いたりすると同時に、向こうのカウンターパートだとか、相手が国だった場合に、向こうに住んでいらっしゃる方とお話をするときに、何が美味しんだとか日常的なお話を聞きながら感じを掴んでいく。
川嶋:なるほど~。
まずは「聴く」に徹する
島田:「今、こういうこと起きてるじゃない?そちらではどういう風に伝えられているのかな?」と彼ら彼女らの解釈も入れながら、どんどんまず情報を入れていくんですね。その上で、これはちょっとおかしいんじゃないかとか、どうしても真反対のことを言っているけれどどちらが正しいんだろうか、というところで二次的三次的なリサーチに入っていくと。
川嶋:なるほど。
島田:なので、まずは鵜呑みにせずに一旦ガーっと(情報を自分の中に)入れてから、後は整理整頓は自分が持っているこれまでの経験だとか、知識でもってやっていくんですが、同時に全部自分でカバーできませんので、専門家がいれば喜んで話を聞きにいきますし、普通に感覚的にどう思う?って聞いてみて、これっておかしいよね、ということをディスカッションしながら、ということはこういうことなのかね?というボワ~っとした感じを掴む、ということをやっていますね。
川嶋:なるほど。そうすると、まず事前の徹底的なリサーチ。それもできる限り信頼性の高い一次情報に近いところのリサーチを徹底的にする。それと聴いていて、少しイメージと違うなと感じられた方がいるかもしれないなと思ったのが、交渉というと「どう交渉するか?」っていうDoingでこちらからどういうアクションをするか、ということを連想しやすいのかなと思ったんですが、とにかく聴く。
島田:まず聴くことですね。
川嶋:情報を何でもかんでも全部入れた上で、その後くにさんの中のフィルターにかけていって分析したり戦略を立てたりされる、というイメージなんですかね?
島田:そうですね。最近FBIの仕事をしたりしているとよく言うのが、全身を耳にして聴きなさいって言うんですね。よく「傾聴」という言葉が日本でも流行っていますし、英語でも「Active Listening」という言葉になっていますが、ほとんどの場合、話を聴きながら次に何を話そうか考えていたり、それは違うでしょう、と自分の判断が聴きながら入るんです。自分がこれはちょっとおかしいんじゃないかとか、感情とか思考を挟んでいる間に大事なところを聴き逃すことがあるんですね。まず、自分の持っている常識とか知識、経験説といったものを意識的に横に置いて、この人の言い分を聴いてみようと。ひたすら聴いたときにそれができるようになってくると、もちろん話のズレ、ストーリーのズレも見えてきますし、その人の信条のようなものが見えてくるんですね。
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