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【国際ネゴシエーター島田久仁彦氏×川嶋治子】 『無敵の交渉術:相手の深層心理が見えてくる傾聴とは?』

 

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相手の深層心理が見えてくる、傾聴力

川嶋:わかります、わかります。

島田: この人は何故こんなことをしたのかな、という時にすごく強い信仰心があったり、小さい頃から背負っている何かトラウマのようなものがあったりだとか、そういったものが見えてくるときもあれば、ビジネスになってきますと、どこかの国の特性がよく出てくるビジネスリーダーだと、例えばタイだとこういう感じになるのか、やはり仏様は大事だというところから来て、全ては国王の仰るままにとかですね、全ては御仏のとかの話が出てくると、あ、そこは絶対に踏み込んじゃいけないところなんだなと傾向が見えてくると、もしかしたらこの方の話の奥底にはそういった意識が深層にあるんじゃないかというところを掴んだりしますね。

川嶋:なるほど。すごくコーチングのトレーニングをしている時と似ているなと感じるところがあって、コーチも「相手の言葉ではなく、エネルギーを聴きなさい」というコーチングの世界の言葉があって、実際にビジネスリーダーにコーチングのトレーニングをすると、みんな耳だけで聴こうとしたり、話を半分聴きながら(先ほど仰っていた)次に何を言おうかなと考えていたりと、いかに傾聴することが難しいかを体感したと仰る方がすごく多いんですね。くにさんが日頃されている、一旦自分の考えや信条を脇に置いてまっさらにして傾聴するというのが、難しい人にとってはどうやったら?とすごく難しいと感じるといいますか、葛藤するところだと思うので、その辺りくにさんのご経験の中からヒントがあればお聴貸せいただけると嬉しいなと思うのですが。

質問には、すぐに答えなくてもいい⁉︎

島田:わかりました。よく言うのは「質問されたらすぐに答えないといけないと思っているでしょ?」と。

川嶋:あぁ~、プレッシャーと思い込みですね。

島田:そう、ね。何か質問された、うわぁ、答えなきゃ。イエスかノーかだけでも言わなきゃ。これ実は危ないんですが、いいんですよ。聴いた後で「なるほどね。ちょっと待ってね、僕もちょっと整理したいから。」「あなたが言ったこととても重要だと思うので私なりに消化をさせてほしい。」と。消化するプロセスで初めてこちらにいる自分が入ってきて、それで初めてここで「でも、さっきと言っていることと違うじゃないか」と言うディスカッションがこの辺りで(自分の頭の中で)わーっとあってですね、それから初めて、いろいろとお聞きしている中で非常に興味深いところがあってこういうことですよね、というのは後から考える。ちょっと待ってね、消化したいし、その間ちょっとコーヒー飲みに行っていい?とか、休憩していいかな、と、それを30分、1時間とってもいいと思うんですよ。いい加減な答えをしてしまうよりは。特に交渉の時というのは一番怖いのは、その場で答えてしまって、後から違う答えをした時に「なんださっきと言っていること違うじゃん」ということなんです。Wordやコンピューターだと文書を上書き保存ができますが、交渉の時に言っている言葉は全てコミットメントになるので、先ほど言ったこともあなたの本心、今言っていることもあなたの本心、どちらも正しいのだから、言ったことはちゃんと責任持ってやりなさいよと、テクニックのある交渉官だとすぐついてきますから。一番良いのは、この人が言っていることはよくわからない、質問の趣旨がよくわからないという時には、あえて答えない、というのが私自身がトライしていることでしょうね。傾聴するときは体も傾けて聴きますし、今は聴く時間。私は後でいいと言い聞かせて、とにかく何かおかしいところはないかという視点なんですよ。

川嶋:なるほど。

 

男性的視点、女性的視点

島田:あと、ものの見方、男性的な視点と女性的な視点というのが一般化するとあるんですね。男性的な視点というのは女性によく言われるじゃないですか。髪を切ったのに気づかない。

川嶋:ありますね(笑)

島田:なぜかと言うと、ピンポイントでしか見れないんですよ。例えば、今日治子さんが大きなイヤリングをつけているとか大きな指輪があったら、うわぁとなって、それ以外見れないんです。

川嶋:点なんですね。

島田:そう、点なんですよ。だから、自分で注目するところを決めたらそこしか見れないんですね。他の変化が見れない。女性って面白いのは、全体の雰囲気を”ふわん”とものを見るんですよ。全体の雰囲気を見て、髪切った?もあれば、なんかおかしい、嘘ついてるでしょ?というのも、ふわんと見ているから何かいつもと違う、というのがあるんです。先ほどの傾聴もそうで、聴いていて、ん??なんかこの話辻褄が合わないぞ、とか、なんか変、この人悟りでも開いたのかな、と思う時もあれば、これは確実に話を作ってるぞ、というのも、じーっとぼーっと聴きながら、でも言葉は逃さないんですが、自分の考えを入れずに、消化の過程で、やっぱり何かおかしいなというところを試しに突いてみるとか。

川嶋:なるほど~。

島田:ということができるので、まずは自分自身は横に置いてしまう。相手になりきるくらい、相手の話をコピー出来るくらい一回とにかく聴きますね。

川嶋:なるほど。今とても重要なヒントを教えていただいたなと思うんですが、一旦何か質問をされたり、発言を求められた時も、慌てなくていい。まずは落ち着いて自分のペースを持って、必要であれば一旦離席する権利ももちろんあるし、一旦落ち着いてから回答をすると。もう一個は、意図的に女性的な聴き方というか、何かピンポイントでどこかだけにフォーカスしてしまうんじゃなくって、全体像を感じながら聴く。そこから何かおかしなところないかなと自分のセンサーを働かせることをされているのかなと。これはビジネスや日常のシーンでもとても使える活きたメソッドだと思うので、ぜひ、傾聴って難しいと思われている方には、傾聴をゴールにせずにその先のゴールを見たときの一つの手段として、今、くにさんに教えていただいたことをぜひヒントにして実践していただけるとすごくいいんじゃないかなと思います。ビジネスリーダーも冷静なリーダーって信頼高いですからね。そんな風にみなさんにもなっていただけるヒントを今日はいただけたんじゃないかと思います。くにさんに聴きたいことがいっぱいありすぎるんですけれども、今日はここまで、ということで、ぜひ、後編という形で引き続き根掘り葉掘りインタビューさせて頂いても宜しいでしょうか?

島田:わかりました。楽しみにしています。

川嶋:非常に貴重なお話、それも誰が聴いてもわかるようにお話いただきまして、本当にありがとうございます。

島田:ありがとうございます。

川嶋:あらためて、今日のゲストは国際ネゴシエーターの島田久仁彦さんでした。ありがとうございました。

島田:どうもありがとうございます。

川嶋:今回は非常に濃密で、かつ、くにさんの人としての温かさが伝わるようなお話だったんじゃないかなと思います。とっても実践的なモノの考え方、心の持ちよう、そして、コミュニケーションのスキルというところを教えていただいたので、私もみなさんと一緒に実践していきたいと思っています。次回もぜひお楽しみに!!

解説・ゲスト:国際ネゴシエーター・地政学リスクアドバイザー 島田久仁彦氏

インタビュアー:ウーマンズリーダーシップインスティテュート株式会社代表取締役 川嶋治子

 

島田久仁彦さんプロフィール

 

最後の調停官・国際ネゴシエーター

株式会社KS International Strategies代表取締役社長CEO。元国際連合紛争調停官で、コソボ、イラク、アフガニスタン、東チモール、スリランカなどの紛争調停に携わり、『最後の調停官』と呼ばれた。数々の紛争調停の任に当たる傍ら、国連や各国政府に対し、気候変動交渉やエネルギー、貿易、外交・安全保障体制、公衆衛生に関する交渉に関するアドバイスも行う。

国内外の顧客に対し交渉のアドバイスや交渉代理人としてM&Aなども手掛け、東南アジア諸国およびラテンアメリカ・カリブ海諸国の企業の経営アドバイスや事業承継に係るコンサルティングも実施している。また、ブロックチェーンやIoT、AIなどのビジネスへの活用(環境、エネルギー、医療、人材など)についてもアドバイスを行っている。

ハーバード大学Program on Negotiationをはじめ、政府・企業に対し交渉・コミュニケーション術・リーダーシップのトレーニングを世界各地で実施。国内外メディアにも多数出演し、広く国際問題について解説。著書に『交渉プロフェッショナル:国際紛争の修羅場から』(NHK出版)、『最強交渉人のNOをかならずYESに変える技術』(かんき出版)。世界経済フォーラムYoung Global Leader 2012。

国際的なリーダーのトレーニングを行うと同時に、人材の育成のため、日本および海外の教育機関での講演も多数行ない、日本では文部科学省主催のSGHのアドバイザーやトビタテ!留学JAPANのアドバイザーも務めている。

 


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