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「プロフェッショナルのマインドセットとは?」

弊社では現役大学生の長期インターンシップの受け入れをしています。
先日、インターンシップ生から
「プロフェッショナルとはどういうものなのか」
「プロ意識はどうしたら身につけられるのか」との質問を受けました。

私の考えを共有したところ、
「若いうちに聞けてよかったです」と目をキラキラさせながら伝えてくれました。
「プロフェッショナルとは何か?」
「どうしたら、プロフェッショナルのマインドセットになれるのか?」

あなたにとってプロフェッショナルとは何ですか?

今回は、リーダーにとって重要なトピックでもある「プロフェッショナリズム(プロ意識)」について取り上げたいと思います。

Contents

【幾重にも重なるレイヤー、異なるスタンダード】

世の中には幾重にも重なるレイヤーが存在しており、
「人それぞれに異なる基準値が存在する」ということを知らない方は、意外と多くいらっしゃいます。

ここまでやって当然でしょ?
これをやらないと気持ちが悪い。
気づいたら、こうしているのが普通だった。という、当たり前の基準。

これ以下では、自分が耐えられない。

だから、なんの苦もなくそれをするのがごく自然である、という最低ラインの基準値。
この「最低ラインの基準値」のことを「スタンダード」と呼びます。

例えば、朝起きたら顔を洗い、食事をしたら歯磨きをする。
多くの社会人が毎朝当たり前にしているスタンダードです。

このスタンダードをお持ちの方は、
顔を洗わず、歯も磨かず、髪も整えずに外出することをイメージしたらゾッとしますね(笑)

しかし、中には顔を洗わず、髪も整えず外出する人も実際に存在します。
他の例で言えば、

「あなたはパジャマでどこまで行けますか?」

私の回答は、寝室まででした。
私にとってパジャマは寝るための洋服だからです。

ですが、同じ問いに対して
「Tシャツとジャージで寝ているので、そのまま着替えずに電車に乗ってダンス教室まで出かけている」と回答された方もいらっしゃいました。

お互いに雷を受けたような衝撃を受けた瞬間でした。

これが、スタンダード(最低ラインの基準値)の働きです。
同様に、起床時間、仕事の進め方、仕事の水準、行動の全てにおいて、私たちはそれぞれのレイヤーで、それぞれに異なるスタンダードを持っています。

【スタンダードを引き上げる】

前述の通り、世の中には、幾重にもなる異なるレイヤーが存在しており、それぞれが当然と思えるスタンダード(基準値)を持ち、それぞれのセオリー、ルールに則って日々を営み、仕事をしています。

面白いことに、人は、今、自分がいるレイヤーから下の世界しか見ることができず、
自分より上のレイヤーにいる人には、自分のいるレイヤーのことも全て見えています。

3階の住人のベランダからは、3階から1階までの景色のみが見えて、
10階の住人には、10階から1階までの景色が見えるのと似ています。

ですから、上司やマネージャー、トップマネジメントが見ているものと、新人、部下であるメンバーが見ているものは異なり、視野の広さや視座の高さの違いから判断基準が異なるのは、とても自然なことなのです。

私たちは、無意識に自分に見える範囲の世界のみが世界の全てと錯覚してしまうことがあります。

そのため、自分が今いる場所より上に存在している、自分とは全く違う基準値で動いている世界の存在に想像力を働かせる力が乏しかったり、興味を持てないと、その先の世界を知り得る事はできません。

また、その存在に気づいたとしても、自分とは違う世界のことだから、と深く知る前に選択肢から除外してしまうケースもあり、その場合も同様に自分の世界が広がることはありません。

多くの場合、スタンダードは無意識に形成されていますが、学生からビジネスパーソンとしてプロフェッショナルに変貌を遂げる、新人からリーダーに、リーダーから管理職にといった、今いるステージから全く違うステージへ移行する、というシーンでは、意識的に意図的に、スタンダードをこれまでとは異なるプロフェッショナルの水準に引き上げる必要が生まれます。

【Do my bestとコミットメント】

プロフェッショナルである、ということは結果を出して当たり前ということ。

定義するならば、
『コミットした仕事に対して結果を出すために必要なことを逆算して、為すべきことの全てを行い、期日までに確実に結果を出す人。そのプロセスにおける成長や苦悩も含めてイキイキと楽しんで結果を出す人。』と言えるでしょう。

先日、プロフェッショナルのあり方について、同様のお考えを3M執行役員の大久保孝俊さんからもお聞きし、非常に共感しました。

『日本人は「最善を尽くします」ってよく言うよね。

でも、本来プロフェッショナルがすべき事は、コミットメント。
海外のトップマネジメントと仕事をして最初に学んだ事は、ベストを尽くすのは当たり前ということ。
つまり、プロフェッショナルであるビジネスパーソンに求められている事は、コミットメントなんだ。』

結果を出すべきプロフェッショナルが「最善を尽くす」のは、言うまでもなく当たり前のことです。

むしろ、「最善を尽くします」という日本語からは「不可抗力があった場合は約束を守れないかもしれない」というネガティブな含みさえ感じ取れます。

『日本人の多くは、「最善を尽くします」と誠実に真摯な姿勢を示しているようで、どこか、ベストを尽くしたけれどそれでもうまくいかなかった際にはご容赦くださいね、と、先に逃げ道を用意しているように感じる』と大久保さんは仰います。

ここがプロフェッショナルとアマチュアの境界線であると、私は明確に定義しています。

プロフェッショナルとして重要なのは、「コミットメント」であり、「コミットするマインド」です。
結果を出してこそのプロであり、このために逆算をして為すべきことを為し、結果に繋げていくのです。

【自律力】

人間は理性的であると同時に、感情も持っています。

結果を出すための道程で、怠惰な感情に邪魔されることも往々にしてあるでしょう。
しかしそれでも、退路を断って自分を律し、結果のためになすべきことを遂行するのがプロフェッショナルです。

その意味で、「コミットするマインド」に次いで「自律する力」もプロフェッショナルに不可欠な能力といえます。

プロフェッショナルとして自律する力については、弊社でも多くのビジネスリーダーにこれまで、脳科学的見地から、感情の仕組みについて理解し、自分自身をマネジメントする「ステートマネジメント」技術をご指導させて頂いてきました。

実際に、ステートマネジメントを実践し始めてからのパフォーマンスの高まりについて多くのご報告を受けており、この点からも、コミットメントのあるリーダーが自律する力を身につけ、実践することの重要性と有用性について確信を深めております。

ステートマネジメントの技術については、次回以降、またご紹介できればと思います。

【プロフェッショナルの判断基準 / アマチュアの判断基準】

ここまで記事を読んで、プロフェッショナルが「ストイックな精神でどんな難事も解決する恐れ知らずのヒーロー」に聞こえる方もいらっしゃるかもしれません。

やるべきことと頭ではわかっていたとしても
「自分にはできないかもしれない」と不安になることはないのか。
疑問に思われる方も中にはいらっしゃることでしょう。

その疑問への私の回答は、

プロフェッショナルは「できる/できない」「自信のあるなし」で判断しない。
「やるべきか、否か」で判断するんだよ、というものでした。

プロフェッショナルとはいえ、一人の人間ですから、一個人の自分に戻れば、自信がない、不安だ、と感じることも時にはあるかもしれません。
しかし、一度、プロフェッショナルである自分、社会的存在としての自分の目線に戻れば、目的意識を思い出すことができます。

そして、多様なステークホルダー・社会的要請など客観的側面を総合考慮して360度で判断し、自分が為すべきことを完遂すし貢献することが喜びとなる。

プロフェッショナルは、その為に力を惜しまないのです。

私が、この日弊社のインターンシップ生に贈った言葉はこちらです。

「人は大義のためだと強くなれる。」

プロフェッショナルに辿り着くための重要なキーの一つは”利他性”であるといえるでしょう。

【失敗かフィードバックか】

もう一つ、私からご提案したいことは

「失敗」に対する認知を変えることです。

プロフェッショナルのマインドセットに成長していく過程において、たとえ大義をもって強くなれたとしても、仕事に対して「できる/できない」という主観的認知を100%「やるべきか否か」という客観的なものに入れ替えることは一朝一夕には達成できません。

多くの場合「できる/できない」の主観と別れを告げる際に妨げとなっているのは「失敗への怖れ」ではないでしょうか。

この「失敗」概念の定義を変えることができれば、プロフェッショナルにまた一歩近づくことができるでしょう。

日本人は文化的な要素だけでなく、生物学的な要素によっても、新たなことに挑戦し、リスクをとることに対して慎重な姿勢を取りやすい傾向にあることが近年明らかになってきました。

いわゆる「失敗」の定義をどう変えれば、私たちは慣れ親しんだコンフォートゾーンを飛び出して、未知なる領域で最高のパフォーマンスを出せるのでしょうか。

コーチングの世界に

「行動の結果は、成功か、フィードバックの2種類しか存在していない」

という言葉があります。

行動をした、ということは、その行動の結果が想定通りだった場合は、成功。
何らかのうまくいかない結果となった場合には、現実からのフィードバックと捉えます。
フィードバックを得たということは、必要な改善や学びを得られるという考え方です。
そして、そのフィードバックを活かして再度チャレンジをすれば、成功確率がどんどん高まっていくわけです。

ここで重要なのは「いずれにしても前進している」ということに着眼していることです。

このプロセスを通じて、自分も、チームも、会社も成長し、社会への価値提供も大きくしていくことが何より意義深いのです。
失敗を怖れ、人に迷惑をかけることを怖れる日本人の多くは、「失敗=人生の汚点」という認知を無意識に持っているように感じます。

ですが、イノベーションを起こし続けている企業、多くのスタートアップが誕生し続けている国々のマインドセットは、「失敗」ではなく、「チャレンジ」であり、「成長」です。

『行動の結果は、成功かフィードバックの2種類しか存在しない。』

本気で取り組んだ結果へのフィードバックは「極めて大きな収穫」です。

個人的な価値規範を介在させず、客観的にフィードバックを受け止め、
どこをどう改善すればいいのか、真摯に分析する材料と捉えることで
「失敗」への怖れから「成功のための収穫」と
マインドチェンジ(マインドシフト)できるでしょう。

【VUCAワールドとプロフェッショナル】

VUCAとは、

Volatility(変動性・不安定さ)

Uncertainty(不確実性・不確定さ)

Complexity(複雑性)

Ambiguity(曖昧性・不明確さ)

の頭文字をとった、不確実で曖昧性が高い解析不能なビジネス環境を表す言葉です。

VUCAワールドと呼ばれる現代は、昨日までの成功法則が一夜にして失敗の方程式に転じてしまう可能性を十分に持った、ドラスティックな変革が起こりうる時代です。

この現代を生き抜くために、リーダーが持つべき重要なキーワードが「イノベーション」です。

私たちは次々とイノベーションが起こる非常に面白い時代に生きている一方で、改善ベースで行ってきた過去の低リスクのビジネスの延長線上には、生き残り自体が危ぶまれ、リーダー自身のマインドセットの転換が求められる時代に生きています。

VUCAの時代では不確実な未来に対して意思決定をして成果を出していく

リーダー・プロフェッショナルの力が、求められています。

“改善”が得意で、リスクを取ることが苦手な傾向は、日本人の持つ特徴の一つですが、
現代は時代背景からも、自分の経験豊富な心地良い領域から一歩足を踏み出すことができる、プロフェッショナルになることが求められているのです。

【まとめ】

・人はそれぞれ異なるスタンダードを持つ

・自分のステージが変わる時には意識を変える必要がある

・結果にコミットする。コミットするマインドセットを持つ

・自律力の重要性

・判断軸は「やるべきか否か。」主観から客観へ

・「失敗」の定義を変えて、未知の分野へ踏み出して成長し続ける

・VUCA時代に求められるプロフェッショナル

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