リップシャッツ信元夏代×川嶋治子対談『日本人のスピーチにありがちな落とし穴?!世界トップリーダーのスピーチの共通点とは?』(後編 )
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3つのA
信元:最初のAはAcknowledge。つまり、相手と自分とは違うんだよ、と認識する。Acknowledge=認識する。
認識するところからまず始まって、その次の2つ目のAがAnalyze=分析をする。
どこがどう違うのかというのを分析をしてみる。私が研修をする時には、異文化コミュニケーション界でよく知られているツールを使いながら図っていくんですが、自分と相手とのギャップを分析していく、それが2つ目です。
3つ目のポイントがAdapt=適応させる。これだけの違いがこんなところにあります。じゃあ自分がどういう風に相手にメッセージを寄せていったら、相手に入りやすくなるのか。両者歩み寄ることがベストではありますけれど、相手が歩み寄ってくれるとは限らないので、自分が伝えたいことをその通りに伝わるように伝えるためには、自分が相手寄りのメッセージを出してあげなきゃいけないわけですね。
じゃあ、自分がどの辺をどう調整したらいいのかを分析しながら見つけていくわけなんです。実際には3つのAの繰り返しになると思うんですが、Acknowledge,Analyze,Adaptこの3つがコミュニケーションを相手に刺さりやすいように適応させていく、コミュニケーション適応力というのがグローバルリーダーのズバリ必要なことなんじゃないかな、と思います。
川嶋:確かに、そこは私も非常に共感するところがありますね。実は私も留学経験はあるんですが、TOEICは生涯に一回しか受けたことがないんですね。なんですけれど、海外のビジネスパートナーとビジネスをしたり、海外の大使館との繋がりもあったりするので、そうするといろんな方から「治子さん英語ができるんですよね」って必ず言われるんですね。英語はもちろん使いますが、でも何がやっぱり大事かというと、自分と違ういろんな方達と出会っていく前提で、自分と相手は違うということを認識して受け入れる、そして、自分と相手とはどこが似ていて、どこがどのくらい離れているのかを認識しながら、相手に動いてもらえるメッセージをいかに自分が調整していけるかが大事だと実感値を持って感じるんですよね。
信元:人間みんな根本は一緒じゃーん!という方もいますけれど、そうなんですけれど、そうじゃないんですよね。
川嶋:そうですね、人間みんな根本は同じだとしても、それでも、それぞれ、生まれてきた環境やバックグラウンドが違うので、宗教も違えば、地理的なことも違えば、ビジネスの慣習も違えば・・・
信元:そうですね、だから、A地点からB地点に行く方法が全然違うわけですよね。
川嶋:そうですよね。
信元:AからBに行く、というのは同じだとしても、行く方法が違うとしたら、その方法に合わせて話してあげないと、「じゃあ、BじゃなくてCに行くよ」ってなってしまうかもしれない。
川嶋:そうですね。
あと、たまにケースとしてあるのが、海外と触れるとそこに適応しすぎちゃうっていうケースの方もいたり・・・
信元:そうですね。
ですから、どこか偏って適応させるのではなくて、バランスが大事ですし、アメリカの人はこう、ヨーロッパの人はこう、ではなくて、みんな一人一人違いがあるわけで、個性もありますし。一人一人の違いを認識した上で、分析した上で、そして、適応させていく。という力が必要で、英語はあくまでただのツールだと思いますね。
川嶋:そうですね。
信元:英語自体が武器になるとは思いません。
川嶋:本当、その通りだと思います。
(英語は)理解をするための共通言語なだけ、ということですよね。
先ほどのトップリーダーのパブリックスピーキングに通じるところがあると思うんですけれど、リーダーになるということは、人に影響を与えて望む方向に動いてもらう・動かしていくということ。そう考えると、おっしゃっていたコミュニケーション適応力というところは、まさにグローバルリーダーにはとても重要なポイントだなと私もとても共感します。
日本人女性の世界に誇れる素晴らしさとウィークポイント
川嶋:もう一つお伺いしたいことがあるのですが、日本は女性リーダー育成の分野においては、先進国の中でほぼ最後尾を走っているといっても過言ではないという状況でもあり、私は女性リーダー育成のトレーニングもさせていただいているんですね。
そこで、もう一つお伺いしたいことというのが、夏代さんが生粋の日本人として生まれて、その後NYに拠点を移されて今はプロフェッショナルスピーカーとして、戦略コンサルタントとして活躍されていますと。
言葉にするとちょっとステレオタイプに聞こえてしまうかもしれないのですが、日本人の女性でグローバルで活躍したいという方たくさんいらっしゃるんです。ただ、そこで自信が持てないとか、いろんなことを懸念されている方もいるんですね。
そこで、夏代さんからご覧になって、日本人の女性の世界に誇れる素晴らしいところ、そして逆にこんなところを変えたらもっと良くなるんじゃないかな、というウィークポイントはどんなところがあるか、この2つの視点について、感じていらっしゃることがあればお聞きしたいなと。
信元:そうですね。やはり日本人女性はあえてステレオタイプを恐れずにお話しすると、日本人女性はしなやかさというのが強みなのかな、と思っていて。
しなやかという単語自体、なかなか英語に訳せない部分がありますけれど、空気を読んで先回りができる、気配りをしてあげられる、であったり、クライアントや同僚に対しても空気を読んで先回りして行動が起こせるというしなやかさというのは、他の国の人たちにはなかなかない価値観なのかな、と思います。
そのしなやかさ、というところが誇れる部分であると同時に、それがウィークポイントになる可能性もあって、どうしても、周りを見ながら行動してしまう、となると行動が遅れたり、アサーティブネスと言いますけれど、ハッキリと物事を伝えられないということにも繋がってしまうので、見ていて感じるのは、しなやかさが誇れるところでもあり、仇になることもあると。あとは、これは女性に限らず日本人全般に言えることかもしれませんけれど、枠に捉われがち。
川嶋:そうですね。
信元:「こうあるべき」「女性だったらこうあるべき」「ヒールを履くべき・履かないべき」という「べき」がたくさんありますよね。
川嶋:そうですね。
信元:自分は日本人なんだ、女性なんだ、という枠すら取っ払ってしまう、という広がりが必要なのかなと思っていて。
グローバルにやっていく場合に、文化がテーマだったり国連で働いていますという場合には、もしかしたら「日本人」+「女性」というところでお話しすることがあるのかもしれませんが、一般的にいうと、「日本人」「女性」が論点になることはほとんどないので。
川嶋:本当そうですね。
自分軸を持つ
信元:なので、日本人だからあなたをこのミーティングに呼んだのではなくて、あなたがあなたであるから呼んだんだよ、ということだと思うので、自分軸をしっかり持つということ。
日本人だとか、女性だとかいうことは関係なく、信元夏代という一人の人間、川嶋治子という一人の人間として自分軸はどこにあるのか?それを持つこと、それをしなやかに発信していけるコミュニケーション適応力が備わるとグローバルリーダーとして成功していくのかなと思いますね。
川嶋:素晴らしいですね。自分軸という点でいうと、弊社でリーダーシップトレーニングをするときも、「どうあるべきか?」ということはよく聞かれるんですよ。「グローバルで活躍する女性リーダーとしては、どうあるべきですか?」という質問をよくいただくんですけれど、「あなたは何者ですか?」という質問を私達は常に返すようにしていて、自分軸を構築するというトレーニングをベーシックに入れているんですけれど。
信元:素晴らしいですね。
川嶋:それはなぜかというと、これはもしかしたら日本人全般に共通することかもしれないんですが、期待に応えていくということで優秀で勤勉だとある程度のところまで行けるんですよね。そして、はたと、リーダーシップをグローバルで発揮しなければいけないとなった時に、「あなたの意見は何?」「あなたは何者で」というところが語れない。だから自信が持てない。ということが起こってきたりして。よくクライアントさんからは、「ネゴシエーション苦手なんです」と言われたりするんですが、深掘りしていくと、コミュニケーションのスキルややり方ではなくて、もっと根本の自分の軸というところだったりするので、そこを大事にしていくというのはグローバルで活躍する上ではとても重要だと私も実感値を持って感じます。
信元:そうですね、ですので、おっしゃった通りで、ブレイクスルーメソッドでも「どう伝えるか」よりも、もっと掘っていって、自分だけにしか出せないメッセージは何なのかを考えていく時に、どうしても自分軸が大事になってくるので、自分軸をしっかり持って、しなやかに発信するコミュニケーション適応力、これがグローバルリーダーの必要条件かなと思います。
川嶋:素晴らしいですね。今回もまた金言がたくさん!グローバルリーダーの必須条件についてのキーワードを頂きました。ありがとうございます。
グローバルで活躍したいという女性のコミュニテイも実は私、運営をしていまして、海外経験のある女性のみなさん、グローバルリーダーを目指しているという女性のみなさんは「ウーマンズリーダーシップ」で検索いただき弊社Webサイトからこちらにもアクセスいただければ、面白いムーブメントが起こしていけるかなと思います。
それでは、本日も素晴らしいお話をありがとうございました。
本日のゲストは、NYからお越しくださいました、リップシャッツ信元夏代さんでした。夏代さんどうもありがとうございました!
信元:ありがとうございました。
解説・ゲスト:『20字に削ぎ落とせ』著者 リップシャッツ信元夏代氏
インタビュアー:ウーマンズリーダーシップインスティテュート株式会社代表取締役 川嶋治子
リップシャッツ信元夏代さんの「グローバルリーダーの為のスピーチ・プレゼン指導」を自社での導入をお考えの法人のお客様へ
IWLでは、リップシャッツ信元夏代氏との連携により、上場企業社長のパブリックスピーキングにも導入されているリップシャッツ信元夏代さんご本人による「グローバルリーダーの為のスピーチ・プレゼン指導」をコンサルティング・講演・研修にて企画段階からご相談をお受けしております。
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